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AIは「正直」にできるのか?――SNSで広がる“ファクトベースAI”プロンプトを試してわかったこと

aihow.jp(誰でもAI を使えるAI関連のニュース&使い方ガイド)_2025-11-07 12-07-37

リサーチをAIに任せたら、もっともらしいのに根拠が弱い…そんな経験、ありませんか。私も「うんうん、わかる」と何度もうなずいたひとりです。「知らないことは“わからない”と言ってほしい」「出典を添えてほしい」。その“当たり前”を実現しようとするのが、SNSで拡散中の“ファクトベースAI”プロンプト。実際に使ってみると、回答の調子が変わり、推測と事実の線引きがはっきりします。「これ、社内の確認工数が減るかも」と感じた瞬間が何度もありました。この記事では、仕組み・使い方・応用テンプレ・注意点までを、実務目線でまとめます。

なぜ注目? 背景にある“ホントっぽい嘘”問題

AIは未確認情報を自信満々に述べてしまうことがあります(いわゆるハルシネーション)。“ファクトベースAI”プロンプトは、回答前提に「わからないと言う勇気」「根拠の明示」「現在日付の記載」「構造化された出力」を埋め込むことで、AIの“姿勢”と“説明責任”をチューニングします。SNS上では教育・業務の両方で活用報告が相次ぎ、話題化しました。公開日は2025年11月5日の記事化が確認できます。

このプロンプトの本質(強み)

  1. 不確実性の可視化
    「推測です」「未確認です」を言わせるルールで、断定の暴走を抑えます。「わからない」と言えるAIは、結果的に信頼されます。
  2. 出典・一次情報の強制
    出典要求が“裏取りの癖”をAI側にインストールします。人間の再検証コストが下がります。
  3. 日付コンテキスト(JST)
    「いつ時点の事実か」を明確化。最新情報依存のトピックで効果的です。
  4. 構造化アウトプット
    結論/根拠/注意点/出典/確実性のラベルで、読み手の負担が軽くなります。「パッと要点だけ掴みたい」人に刺さります。
  5. 倫理の明文化
    「誠実に答える」姿勢を最初に約束させる点が支持を集めました。「AIを信じすぎないが、敵視もしない」使い方に合います。

まずはこれをコピペ(最小構成・日本語版)

下記は話題のプロンプト方針を“実務向けに再編集”したテンプレです。意味は保ちつつ、冗長さを削り、仕事で使いやすい形に調整しています。
・不確実な場合は「わからない」と明言すること
・推測は「推測です」と明示すること
・現在日付(YYYY-MM-DD JST)を明記すること
・根拠/出典(可能なら一次情報)を添えること
・出力形式:
 【結論】
 【根拠】
 【注意点・例外】
 【出典】
 【確実性:高/中/低】

「まずは“これだけ”で十分?」――はい。多くのケースで“断定口調の減少”と“根拠の明確化”が体感できます。「うちのチーム、確認がスムーズになった」と感じたら次へ。

さらに踏み込む:用途別の拡張ルール

・法務/医療/金融:専門家確認を必ず促す1行を追加
「専門的判断が必要です。最終的には有資格者に確認してください。」
・最新ニュース系:年代・地域の限定
「2024年以降、日本における事例に限定して要約してください。」
・比較検討:評価指標の固定
「比較表を作り、評価軸は価格・速度・サポートの3点、重みは4:3:3とする。」
・社内向け:再現性の確保
「回答末尾に“検索語句”と“確認手順”を列挙してください。」

ビフォー/アフター(よくある変化)

・ビフォー:「海外ではOK、たぶん日本でも大丈夫です。」
・アフター:「推測です。日本の一次情報は未確認です。JST:2025-11-07。出典:公的機関資料の該当条文が見当たりません。」

・ビフォー:「Aツールが最速です。」
・アフター:「確実性:中。ベンチマーク出典は販売会社のブログのみ。第三者検証は未提示のため注意が必要です。」

読んでいて「そうそう、そう言ってほしかった!」と思える変化が起きます。

導入手順(仕事に組み込むコツ)

  1. まず“最小構成テンプレ”をチームの標準プロンプトに採用
  2. 週1で“事実と推測の混在”の事例を持ち寄り、テンプレを微修正
  3. 出典の品質レベル(一次/二次/三次)をチーム内で定義
  4. 期限のある調査は「確実性:中以下は人手で再検証」を運用ルール化
  5. 失敗例を残す(「ここで誤読した」ログ)――再発防止の資産になります

注意点(万能薬ではありません)

・出典が存在しないテーマでは、AIは“わからない”を返します。ここは人が仮説を立てる番。
・閉じた分野(機密・社内ナレッジ)は、AIの参照範囲外。RAG(社内文書の取り込み)と併用しましょう。
・「出典のURLが貼ってある=正しい」ではありません。一次情報の文言照合までは人の仕事です。
・生成AIの挙動はモデルやバージョンで変わります。同じテンプレでも結果が変化する可能性はあります。

“ファクトベースAI”は誰に刺さる?

・編集者/広報:「“推測です”の一言があるだけで、公開判断がしやすい」
・カスタマーサポート:「問い合わせの一次回答に“根拠”がつくから安心」
・新規事業:「リサーチのやり直しが減り、学習サイクルが速くなる」
・教育現場:「“断言しない勇気”の練習になる。情報リテラシーの教材にも」

まとめ:AIの“誠実さ”を、私たちが設計する

「AIが嘘をつかなくなる」のではなく、「嘘をつきにくい環境に設定する」。それが“ファクトベースAI”の核心です。ルールを一行追加するだけで、やりとりの精度と安心感は目に見えて変わります。まずは最小テンプレから。手応えを感じたら、チームの実情に合わせて拡張していきましょう。

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