AIが仕事のあらゆる場面に入り込むいま、差がつくのは“創造的に考える力”。世界経済フォーラムの最新レポートでも、2030年に向けて重要性が増す中核スキルに「創造的思考」が挙げられています。私たちはAIに丸投げするのではなく、ChatGPTを“第2の頭脳”として使い、自分の創造性を増幅させる必要があります。
「正直、行き詰まった……」「どれも無難で刺さらない」——そんなときに効く“実務直結”のプロンプトと運用のコツをまとめました。今日から会議・企画・意思決定で使えます。
創造性を増幅する“基本姿勢”
・ChatGPTは“代わりに考える装置”ではなく“発想を広げる相棒”。
・回答は“出発点”。掘り下げ質問で質が跳ね上がる。
・役割指定（ロール）・条件・評価軸を毎回セットする。
・1回で正解を狙わない。「生成→批評→修正」を短サイクルで回す。
「よし、面白くなってきた！」と感じられるまで、3〜5ターンは粘るのがおすすめです。
プロンプト1｜現状をひっくり返す（ラディカル発想）
狙い：当たり前を崩し、会議で“空気を変える”タネを出す。
向いている場面：リーダー会議／新規事業／行き詰まり案件の突破口探し。
使い方（テンプレ）
「あなたは“創造性コーチ兼ビジネスコンサルタント”。【課題】を大胆に解決する、常識外れでも価値が出るアイデアを5案。各案について①狙い②期待できるプラス効果③既存常識に投げる疑問点④最初の小さな実験方法（1週間・低コスト）まで。」
フォローアップ例
「一番インパクト×実行容易性の高い案は？反論ポイントと先回り対策は？」
「“まずやってみる版”のスコープをさらに半分に。」
プロンプト2｜A案×B案を“掛け算”でまとめる（融合発想）
狙い：対立する選択肢を、第三の解へ。妥協ではなく“価値の上積み”。
向いている場面：プロダクト設計／GTM（市場投入）戦略／価格×顧客体験の両立。
使い方（テンプレ）
「【状況説明】Aアプローチの強みと弱み、Bアプローチの強みと弱みを箇条書き。両者を組み合わせた“第三の案”を3つ。各案に①誰の何のジョブを満たすか②成功条件③副作用とガードレール④90日間の実行ロードマップ。」
フォローアップ例
「ステークホルダー別のベネフィットを“1文”で。営業／CS／既存顧客／新規見込み。」
「検証KPIを“行動指標”で。申込数ではなくテスト可能な中間指標に置き換えて。」
プロンプト3｜複数の“利害する視点”で撮り直す（多視点発想）
狙い：独りよがりを避け、意思決定の“盲点”を潰す。
向いている場面：企画レビュー／キャンペーン設計／仕様確定前の最終チェック。
使い方（テンプレ）
「【プロジェクトの要約】目標は【KGI】。エンドユーザー、社内実行部隊、チャネルパートナー、規制・法務、将来の自分（運用担当）の5視点で“とらえ直し”。各視点ごとに①価値提案の再定義②見落としがちなリスク③パーソナライズ要件④“今すぐ直せる1点”を列挙。」
フォローアップ例
「5視点で“共通して重要”かつ“未対処”の論点だけを抽出して。」
「ローンチ版に盛り込む『最低限の差別化3点』を短文化してヘッドコピー化。」
即効で精度が上がる“小技セット”
- コンテキスト提示は“短く具体”。「対象顧客／利用シーン／制約（予算・工数）」。
- 評価軸を先に渡す。「新規性6：実現性4」「短期売上＞長期ブランド」。
- 反証を必ず聞く。「この案が失敗する理由を3つ、回避策も添えて」。
- ミニ実験に落とす。「1週間・5万円以内・既存リソースのみ」の条件で。
- 書き換えを命じる。「社内稟議用に“要点3行”へ」「LPヒーロー見出しに」。
ロール別の“そのまま使える”追い質問
・プロダクトマネージャー：「ユーザーストーリー3本を“Given-When-Then”で。」
・マーケ担当：「同業3社に刺さる否定型見出し→肯定型見出しに言い換えて。」
・営業：「導入前の不安“TOP3”へのカウンターCTを1行ずつ。」
・経営：「キャッシュへの波及（売上・粗利・回収期間）を概算レンジで。」
・CS：「“解約直前”の行動シグナルと即日打てる介入案を。」
使うほど差がつく“運用リズム”
・朝：課題を3行で要約→プロンプト投下→当日アクションに落とす。
・昼：検証結果を入力→仮説の棄却／修正→再度アイデア抽出。
・夕：意思決定ログをまとめ、翌日の問いを仕込んでおく。
「なんとなく良さそう」を避け、問い→実験→学びのサイクルを日次で回すことが、創造性の筋トレになります。
なぜ“創造的思考”が武器になるのか
定型タスクはAIが高速・大量に片づけてくれます。だからこそ、人の価値は「新しい組み合わせを見つけ、物語と戦略に落とし、動かす力」。ストーリーテリング、戦略設計、マーケティング、デザインなど“創造が要”の職務は、キャリアの伸びしろも大きい。「AIと競う」のではなく、「AIで自分の創造性を増幅する」。この姿勢が、変化の大波に強いキャリアをつくります。
「よし、やってみるか」——そう思えたら、まずはプロンプト1から。会議1本分で、空気は変えられます。
（保存版）コピペ用プロンプト3種
1）現状打破
「あなたは創造性コーチ兼ビジネスコンサルタント。【課題】を常識外れでも価値が出る形で5案。各案：狙い／想定プラス効果／既存常識への異議／1週間の小実験案。」
2）融合案づくり
「A案とB案の強弱を比較し、第三の案を3つ。各案：誰の何のジョブ／成功条件／副作用とガードレール／90日ロードマップ。」
3）多視点チェック
「【プロジェクト要約】。ユーザー／実行部隊／パートナー／規制法務／将来の運用担当の5視点で、価値再定義・リスク・パーソナライズ要件・今すぐ直す1点。」
