一言でいうと:何が変わる?
Canvaが発表した「クリエイティブOS」は、ビジュアル制作の土台を作り直す大型アップデート。動画編集を作り直した「動画2.0」、デザイン内でアンケートなどを埋め込める「フォーム」、データと連携する「Canvaコーディング」、そして広告の作成・配信・計測までを一気通貫で扱えるマーケ機能までをひとつに束ねた。核にあるのは、レイアウトや配色など“デザインの文法”を理解するAIモデル。編集可能な完成形を数秒で起こすのが狙いだ。

共感ポイント:制作現場の“あるある”を潰しに来た
「テンプレはあるのに、結局レイアウトで詰まる」
「動画のトリミングとBGM同期で時間が消える」
「LP、広告、SNS…ぜんぶ別ツールで進行が散らばる」
クリエイティブOSは、こうした“作業の分断”を減らす設計。作って、公開して、効果を見て直す——この往復をひとつのワークスペースで回せるのが本質だ。
中核アップデート(ビジュアルツールキット2.0)
・動画2.0:直感的なタイムラインで同期・トリミング・レイヤー操作を高速化。AIの自動編集補助も入る。
・フォーム:出欠確認やアンケートをデザインに直接配置。回答はCanvaシートに自動集約。
・メール:テンプレにビジュアルを足して完成HTMLを書き出し。下書き〜テスト送信まで同じ画面で完結。
・コーディング×シート:入力データを拾ってウィジェットや簡易ダッシュボードを生成。公開もワンクリック。
世界初の「デザイン特化AI」Canvaデザインモデル
一般的な画像生成と違い、レイアウト構造や階層、ブランド指定を理解して、編集可能な体裁で出力するのが特徴。SNS投稿、プレゼン、Web、動画など用途別に“最終形に近い”案をすぐ出せる。作りこみは人間が仕上げ、AIは初速と統一感を担保する考え方だ。
マーケとブランド運用もひとつに(Canvaマーケティング/ブランドシステム)
広告の企画→制作→配信→学習をCanva内で回す。Metaへの直接出稿に対応し、成果データを見ながら生成案の改善まで繋げられる。ブランドシステムではロゴ・色・トーンを“ガイドとして”エディタに常時表示。チームが増えても、統一感を自動で守れる。
新プラン「Canvaビジネス」登場
個人〜小規模チームが、ProとEnterpriseの“間”の機能にアクセスしやすくする位置づけ。拡張ストレージ、AIクレジット増、印刷割引、分析・ブランド系の強化など、成長フェーズに合わせた拡張がしやすい。
Affinityが“無料で使える”に
プロ向けのAffinityは、写真編集・ベクター・レイアウトを統合した新アプリとして刷新。恒久的に無料で提供され、Canvaとのデータ連携もシームレスに。Affinity内から一部のCanva AI機能にアクセスする場合はプレミアム契約が必要になる。

用途別:どこが効く?(早見)
1)個人クリエイター:SNS運用の“量”と“統一感”をAIで底上げ。動画2.0でカット編集のストレス軽減。
2)スモールチーム:ブランドシステム+メール+フォームで“常連施策”を定常運転化。
3)マーケ部門:広告制作→Meta出稿→学習を同一基盤で。バラバラなダッシュボード地獄から脱出。
4)デザイナー:Affinity無料化で“重い編集”をローカルで、量産と展開はCanvaで。
注意点(運用前に把握したい)
・AI/一部上位機能はプランにより利用範囲が異なる。導入時はチーム単位の権限設計を。
・広告アカウント連携や出稿先の拡充は段階的。要件や対応範囲は最新情報で確認。
・Affinity内でのCanva AI利用など、一部はプレミアム契約が前提。
編集後記:
制作・配信・学習を「ひとつの机」に乗せたのがクリエイティブOS。最初の“AI案”でスピードを上げ、ブランドシステムでブレを抑え、マーケで学習を回す。「作る人の作業を減らし、意思決定の回数を増やす」——これが今回のアップデートの強みだと感じた。
Canva公式発表ページ:https://www.canva.com/ja_jp/launches/
