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「褒め言葉ばかりのAI」にモヤッとしたら——“優しさフィルター”を外すプロンプト

aihow.jpサムネイルchatgpt

AIに相談すると、やたらとポジティブ。「素晴らしいです!」「いいアイデアですね!」——最初は嬉しいのに、あとで「あれ、具体的な前進がない…」とガッカリすること、ありませんか。私も同じでした。「うん、わかる。気持ちは軽くなる。でも“進む”感覚が薄い」と。

海外ユーザーのあいだで、そんなモヤモヤを解消するプロンプトが話題です。要点はシンプル。「同意的で優しい態度をやめ、“率直で正直なアドバイザー”として振る舞って」とAIに頼むだけ。すると返答の温度感が変わり、「耳の痛い指摘」や「仮説の穴」、つまり次の一歩に必要な“摩擦”が返ってきます。「正直に言って」「遠慮なく指摘して」「機会損失も説明して」——この一歩が、行動を加速させます。

このプロンプトの肝は「役割の再定義」

“フィードバック役”に役割を固定(ロール指定)し、期待する態度を明文化する。ここが核心です。AIの返答方針(ポライトネス)を“好み”ではなく“職務”に置き換えるので、ブレが減る。「厳しさ」を人格の問題にしないのがポイント。「仕事として、率直に」——これでギアが入ります。

「『褒め』は気持ちいい。でも、いま欲しいのは『検討すべき弱点』だよね」

すぐ使える日本語テンプレ(短く、効く)

1行版(まずはこれ)
「これからは、同意や慰めは不要です。私の率直で正直なアドバイザーとして、仮説の弱点・見落とし・機会損失を遠慮なく指摘してください。必要なら厳しく、具体案と優先順位も提示してください。」

検討深掘り版(課題が複雑なとき)
「前提の誤り・リスク・反証可能性・代替案の有効性・意思決定の基準を順に評価し、どこで思い込みが入っているかを特定。改善のToDoを“実行順”で3つに絞って提示してください。」

トーン調整(言い過ぎを抑える)
「率直だが侮辱的ではない表現に限定し、指摘には根拠と、実行可能な修正案を必ずセットで。」

“効く場面”と“効きにくい場面”

効く場面
・新規事業・施策の壁打ち(仮説の穴出し)
・資料レビュー(主張と根拠のズレ修正)
・学習計画づくり(優先順位の整理)

効きにくい/注意が要る場面
・メンタル負荷が高い相談(まずは安心感が必要)
・事実確認が未整備な課題(厳しさより先にデータ集め)
・対人コミュニケーション原稿(言い回しの配慮が必須)

「今日は“前進”したい?それとも“癒やされたい”?——使い分けたほうが、結局は早い。」

A/Bで効果を確かめる——小さな実験手順

1)同じ問いを「通常モード」と「率直アドバイザー」で投げる
2)返答の“可動化率”(いま着手できる行動へ何個つながったか)を比較
3)刺さった指摘と、過剰だった指摘をメモ。次回のプロンプトに反映

評価指標の例
・今日のToDoに落ちた数/再現性
・指摘→修正で“成果物の変化”が生まれたか
・意思決定の速さ(迷いの減少)

安全運転のための“ガードレール文”

・「非難語は使わず、代替案を提示」
・「不確実な推測は“推測”と明示」
・「倫理・法令・安全に反する助言は拒否し、理由を説明」
・「結論の根拠と前提を必ず分けて提示」

この4行を足すだけで、強めの批評でも“壊さずに直す”方向へ。

よくあるつまずき——そして解決策

・返答が“辛口”すぎてメンタルが削れる
→ トーン制御の一文を加える。「率直だが礼節的に。提案は3件まで」

・弱点指摘はあるのに「じゃあどうする?」が出てこない
→ 「各指摘に、実行手順(誰が・何を・いつまでに)を必ず付けて」と指定

・前提がズレたまま論破してくる
→ 最初に「前提を要約→確認→反論」の順序を要求

まとめ:AIは“応援団”にも“辛口コーチ”にもなる

AIはコーチング対象に合わせて役割を変えられます。心の燃料が欲しい日もあれば、ブレーキを外して前に進みたい日もある。役割の言語化とガードレールで、望む関わり方を設計しましょう。「優しさフィルター」を外すのは、自己否定のためではなく、意思決定の質を上げるため。明日の行動が1つでも増えたら、このプロンプトは成功です。

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