はじめに:長時間働いているのに、成果が出ない気がしていませんか?
「毎日クタクタになるまで働いているのに、成果が出ている実感がない」
「AIを使えと言われるけれど、正直どこから手をつければいいのか分からない」
こんなモヤモヤを抱えているビジネスパーソンは、今かなり多いはずです。
ベストセラー作家として累計900万部に迫る著書を持つ本田健さんは、新刊『AI時代の[お金を稼ぐ力]』のなかで、AI時代のお金の稼ぎ方・働き方のポイントを語っています。AIに仕事を奪われると恐れるのではなく、「退屈な作業をAIに任せ、人間は自分にしかできない価値を高めていくべきだ」というスタンスです。
この記事では、その考え方をベースにしながら、
・どんな仕事をAIに任せるべきか
・人間は、浮いた時間で何をすべきか
・具体的にどうタスク整理/AI活用を進めればいいのか
を、少しカジュアルに、でも論理的に整理していきます。
3つの仕事の種類を切り分ける:どこに「自分の価値」があるのか
まず、あなたの仕事をざっくり3つに分けてみます。
- あなたにしかできない「価値の高い仕事」
- 誰でもできる「繰り返しの仕事」
- そもそもやらなくてもいい「ムダな仕事」
本来、あなたの時間は「1」に集中させたいはずです。
・企画を考える
・顧客と信頼関係を築く
・チームの方針を決める
・新しいサービスを構想する
こうした仕事は、あなたの経験・感性・責任感が反映される「価値の高い仕事」です。
一方で、現実はどうでしょうか。
「誰でもできる事務作業を延々とこなして1日が終わる」
「会議や報告書、社内調整で、気づいたら夕方になっている」
そんな感覚があるなら、かなりもったいない状態です。
あなたの本来の価値を生み出す時間が、「2」と「3」に吸い取られている可能性が高いからです。
AIが得意な5つの領域:どこから任せればいい?
では、どこからAIに任せていけばいいのか。
ざっくり言うと、AIが得意なのは次のような領域です。
- データの集計や分析
- 定型的な文章の作成・添削
- スケジュール調整やリマインド
- お問い合わせ対応のたたき台づくり
- 資料・画像・スライドのたたき台作成
たとえば、チャット型AIや文書生成AIを使えば、
・メールのドラフトを一気にまとめる
・議事録の要点を自動で書き起こす
・レポートの構成案を先に出してもらう
といったことが、かなりの精度でできるようになっています。
もちろん、最終チェックや細かなニュアンス調整は人間の仕事です。
しかし、「まっさらな状態から自分ひとりで考えて書く」のと、「AIにたたき台を出してもらって、そこから仕上げる」のとでは、かかる時間も精神的な負荷もまったく違います。
ここで一度、自分に問いかけてみてください。
「本当に、自分が全部やる必要がある仕事なのか?」
「AIに任せれば、かなりラクになるのではないか?」
まずは「やめる仕事」を決める:ムダな会議と書類を減らす
AIの話をする前に、見落とされがちですがとても大事なのが、
「そもそも、やらなくていい仕事を減らす」
という視点です。
・必要以上に長い会議
・形式的な報告のためだけの資料
・誰も読んでいない週次/月次レポート
・「昔からやっているから」という理由だけのルールや手順
「本音では意味が薄いと分かっているのに、惰性で続いている仕事」は、どの組織にもあります。
「これ、本当に必要?」と口にするのは勇気がいりますが、
そこを見直さないままAIを入れても、「ムダを効率化しているだけ」になりかねません。
まずは、
・完全にやめる仕事
・頻度を減らす仕事
・フォーマットを簡略化できる仕事
を1つでも2つでも決める。
そのうえで、「残ったけれど、繰り返しの多い仕事」をAIに任せていく流れがスムーズです。
「AIレバレッジ」をかける3ステップ
ここからは、実際に仕事にAIレバレッジをかけていく3ステップを整理します。
ステップ1:1週間分のタスクを全部書き出す
最初のステップは地味ですが、とても重要です。
1週間分の仕事を、できるだけ細かく紙やメモアプリに書き出してみます。
・メール返信
・資料作成
・会議準備
・顧客との打ち合わせ
・社内チャットへの返信
・レポート作成 など
書き出したら、それぞれのタスクに対して、
・価値:高い/低い
・担当:自分がやるべき/他の人やAIでもできる
という2軸でざっくり分類していきます。
ここで大事なのは、
「本当はやりたくないけれど、なんとなく自分が抱えている仕事」も正直に書くことです。
「誰でもできる作業なのに、自分がやっている」
「断るのが気まずくて、そのまま引き受けている」
といったタスクが浮かび上がってきたら、それは改善余地のサインです。
ステップ2:AIに任せる領域を決める
次に、
・価値はそこまで高くないけれど、仕事としては必要
・人間じゃなくてもいい、繰り返しの多いタスク
を「AI候補」としてマークしていきます。
たとえば、こんなイメージです。
・メール返信 → AIに文面のたたき台を作らせる
・議事録 → 会議を録音し、AIで文字起こしと要約
・レポート → AIに構成案と見出し案を出してもらう
・データ集計 → AIにピボット表の案やグラフの説明文を作らせる
チャット型AIに「過去のメールの書き方」「社内のトーン&マナー」「使ってはいけない表現」などをあらかじめ共有しておけば、かなり自社らしい文章を出せるようになります。
最初は、
「AIが書いた文章なんて使って大丈夫かな……」
と不安になるはずです。
そこでいきなり「すべてAIに投げる」のではなく、
・まずは下書きだけAIに任せる
・最終チェックと微調整だけ自分でやる
という役割分担から始めると、心理的なハードルがぐっと下がります。
ステップ3:浮いた時間を「価値の高い時間」に再配分する
AIを導入してもうまくいかない人の共通点は、
「浮いた時間を、またどうでもいい仕事で埋めてしまう」
ことです。
大切なのは、「AIが空けてくれた時間を、何に使うのか」を意識的に決めること。
たとえば、AI活用によって次のような短縮ができたとします。
・メール対応:毎日2時間 → 30〜40分
・議事録作成:1時間 → 10分程度
・レポート作成:3時間 → 1時間(構成案はAI)
・データ集計:2時間 → 15〜20分
1日あたり、トータルで3〜4時間は浮くイメージです。
ここで、
「せっかく時間ができたし、別の細かい雑務を入れてしまおう」
とやってしまうと、あっという間に元どおりです。
・集中して考える時間(思考・企画)
・勉強やスキルアップの時間
・重要な人との対話(顧客・上司・部下・家族)
・しっかり休む時間
こうした「価値の高い時間」に、あえてブロックして再配分する。
ここまでセットでやって、はじめて「AIレバレッジ」が効き始めます。
空いた時間で「何をするか」が、AI時代の「稼ぐ力」を決める
本田健さんの新刊タイトルには、「AI時代の[お金を稼ぐ力]」というフレーズが入っています。ここでいう「稼ぐ力」は、単に目先のお金を増やすテクニックではありません。AIが普及する社会の中で、自分らしく、自由に、豊かに生きるための総合的な力です。
AIを使いこなす人と、AIに振り回される人の違いは、
「空いた時間をどう使うか」で決まります。
・AIに任せたおかげで、思考・対話・学びに時間を使える人
・AIで効率化したぶん、さらに細かい仕事を詰め込んでしまう人
前者は、長期的に見て「自分の価値そのもの」がどんどん上がっていきます。
後者は、便利になったはずなのに、なぜかいつまでも忙しいままです。
「AIに仕事を奪われるかどうか」ではなく、
「AIが空けてくれた時間で、どんな価値を生み出せるか」。
ここに、AI時代の大きな分かれ目があります。
今日からできる「小さな一歩」
いきなりすべてを変えようとすると、疲れてしまいます。
まずは、次の3つのうち、どれか1つだけでも試してみてください。
- 今日1日やった仕事を、寝る前に5分だけメモする
- 「正直AIに任せてもよさそうな作業」を1つだけ選ぶ
- その作業を、明日はAIに下書きさせてからスタートしてみる
「なんだ、思っていたよりAIって便利かもしれない」
と体感できれば、それが一番のモチベーションになります。
そして少しずつ、AIに任せる領域を増やし、
浮いた時間を「価値の高い仕事」「自分の成長」「しっかり休む時間」に振り向けていく。
それが、AI時代における「レバレッジのかかった働き方」であり、
最終的には「お金を稼ぐ力」そのものを底上げしていくことにつながります。
参考文献:本田健『AI時代の[お金を稼ぐ力]』
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