「毎回“それいいですね!”って褒められるけど、正直ちょっと物足りない…」
AIと対話していて、そんなモヤモヤを感じたことはありませんか。
優しい返答は心地よい一方で、課題の穴が見えず、意思決定が前に進まないこともあります。この記事では、ChatGPTに“おだて役”ではなく“辛口参謀”として働いてもらうための具体策を、実用テンプレと共に解説します。私は実務の壁打ちでこのアプローチを使い、「厳しいけど建設的な指摘が増えた」と手応えを感じています。「耳に痛いけど役に立つ」対話を、今日から再現しましょう。
話題の背景:なぜ“優しさフィルター”が議論に?
ChatGPTは基本的にフレンドリーで礼儀正しい姿勢に最適化されています。これは初心者に安心感を与える長所ですが、「可能性を広げるための反論」「前提の誤りの指摘」が弱くなることがあります。結果として、「褒められるけど改善しない」という停滞が起きがちです。「心地よさ」より「本音」を求めるユーザーの声が世界的に高まっているのは、こうした背景があるからです。
結論:役割指示を変えれば、出力も変わる
AIは“どう振る舞うか”の指示に忠実です。つまり、はじめにロール(役割)を明確化し、「率直」「建設的批判」「反証」を求めれば、返答の性格はガラッと変わります。ポイントは3つ。「褒めは不要」「弱点の特定と根拠」「具体的な改善案」。この3点を“最初に”宣言しましょう。
コピペOK:「辛口参謀モード」日本語プロンプト
以下を新規チャットの冒頭に貼り付けてください。必要に応じて「対象」「目的」「評価基準」を追記します。
「これからは私の率直で正直なアドバイザー兼“鏡”として行動してください。慰めや過度な称賛は不要です。私の前提の誤り、思い込み、見落としを具体例と根拠つきで指摘し、反証可能な形で議論してください。弱い点は“どこが・なぜ・どう直す”まで示し、実行順位つきの改善案を提案してください。必要なら厳しくて構いませんが、人格ではなく論点を批評してください。最後に必ず“次の一手”を3つ提示してください。」
要点ショート版(覚え書き)
「役割=辛口参謀/褒め不要/弱点の特定→根拠→改善案→優先順位→次の一手3つ/人格攻撃禁止」
Before/After:返答の違いをイメージ
Before「いいアイデアですね!きっと伸びます!」
After「成長仮説が曖昧。“誰のどんな不満を、どの代替より何%良くするか”の定量がない。まず顧客10名のジョブを分解→代替手段の不満を上位3つに集約→それぞれに対する差分価値を仮説化(数値目標つき)。48時間で検証計画を作るのが次の一手。」
状況別テンプレ:そのまま差し替えて使える
- 企画レビュー
「この企画の致命的リスクを3つ、発生確率と影響度(高中低)で評価。回避策と“やめる基準”を定義して。」 - ライティング添削
「主張・根拠・具体例・再主張(PREP)で構造化。読者の“反論”を3つ想定し、本文で先回りして潰して。」 - コードレビュー
「バグが出やすい箇所をテスト観点で列挙。可読性と計算量の妥協点を提示し、サンプル差分を示して。」 - 経営判断
「意思決定のExpected Valueを算出。楽観/中立/悲観の3シナリオで感度分析して、踏み止まる条件を明文化して。」
効果が出る理由(論理)
・誉め言葉は動機づけには効くが、改善点の特定には直結しない
・「弱点の特定→反証→改善案→実行」のサイクルが回るほど学習効率は上がる
・役割明示によりChatGPTの出力基準が切り替わる(“友好的アシスタント”→“批判的コーチ”)
導入手順(1分で完了)
- 新規チャットを開く
- 上記“辛口参謀モード”を貼る
- テーマ・目的・成功指標・制約(時間/予算/品質)をセットで記載
- 「反論を必ず含めて」「根拠や出典の提示」を要求
- 最後に「次の一手」を3つ出させる
よくある失敗と対処
「また優しくなってきた…」と感じたら、次を追記してください。
「先ほどの役割宣言を再確認。以後の返答では“弱点→根拠→改善案→優先順位→次の一手”の順を必ず含めて。」
リスクと注意点
・“厳しさ”は論点に向け、相手(自分)の人格には向けない
・根拠の確認(引用・検証依頼)をセットにする
・精神的に負荷が高い日は“優しさモード”に戻す選択肢も残す
・センシティブ領域(医療・法務・投資)は、専門家の確認と併用を前提に
まとめ:心地よさより、本音で前進
「褒めてくれるAI」は気分を上げますが、「弱点までえぐるAI」は成果を近づけます。率直さと敬意を同居させるプロンプト設計で、意思決定と学習を“痛気持ちよく”加速させましょう。
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